『神食(アンブロシア)の値段』はちょっと残念。スケールが小さいのよ。

目次

作品情報:神食の値段

基本情報

基本情報を表示する
書籍名神食の値段(アンブロシアのねだん)
著者ゆづか正成
原作
原作者
キャラデザ
ページ数1巻:195ページ
2巻:195ページ
発売日1巻:2016年08月17日
2巻:2016年12月16日
出版社講談社
レーベル少年マガジンエッジコミックス
ASIN1巻:B01K1IVQCG
2巻:B01MXW8JGM
ISBN1巻:978-4063910285
2巻:978-4063910452
状態完結
巻数全2巻

あらすじ

変人扱いされている高校生・伊豆丸と、学校一の秀才・結城の2人組。

伊豆丸は料理人であり、結城はマネジメントの力で、潰れかけた店を再建する――。

感想:神食の値段

感想

色々と残念と感じた作品。

経営面を中心に描かれるグルメコミックというのは、目新しくて期待が持てました。
ストーリーの点で言えば、平々凡々で予想を超えてくることがあまり無いのが残念。

「味(食リポ)」を主にしたいのか、「値段(経営面)」を主にしたいのか分からない。
二軸構成だとしたら、話が薄すぎるようにも感じた。

そしてキャラクター。

1巻で食べ物を粗末にする点に憤慨する伊豆丸が、2巻冒頭で調理器具を粗末にする。
「失敗した」ってあるけど、そもそも料理に対する姿勢が甘いからそうなるんじゃないのか?
メインストーリーへの起点として、インパクトが欲しかったのかもしれないけれど、違和感が大きくて意図しない(悪い意味での)インパクトを感じました。

そもそも、伊豆丸の粗野で乱暴な設定は必要だったのか?

なんの伏線なの? 意味あるの?

「じゃじゃ馬」「鷹」を彷彿とさせたいなら、方向性が間違ってるんじゃないかなぁ。
と言うのも、この性格設定が意味をなさないままにエンディングを迎えるため、これまた残念。
ガトーショコラが、この性格の伏線だとしたら微妙すぎる。ハーブティーの方は綺麗な伏線回収だったと思う。

結城に至っては、「4話 仕入れのねだん」の時点で、結城はきっとこういう繋がりがあるんだろうなぁ~。と思ったら、まさかのそれが「やっと明かされた結城の秘密(どやー!)」と言わんばかりの組み立てになっており、想像超えてこないから、「はぁ。そうですか。」以外の感想が出てこない。

あと最後に言ってきたいのは、「神食の値段(アンブロシアのねだん)」というタイトル。
名は体を表すじゃないけれど、このタイトルに対してストーリーのスケールが小さい。

もはやタイトルと中身が不整合起こしているようなのは止めてくれないかなぁ?

別に異世界転生して神様に料理をふるうストーリーを求めているわけじゃないの。ただ、「このコジンマリしたストーリーに付けるタイトルとしては不適切」と感じるのよ。作品タイトルって、著者ではなく編集者が「売れるタイトル」を付けるケースがあるから、今回の場合、誰が決めたのか? なんて分からないけれど、もっと他になかったかなぁ?

少なくとも、日本の高校の2人が近場で料理をするコミックが「神食(アンブロシア)」はナイ。

正直に言えば、こういう肩透かしというか見掛け倒しみたいなタイトルの付け方をされると、同じ著者の本には手が伸びなくなる。
作品の良し悪しではなく、タイトルと中身のアンマッチだと感じるということは、著者と私の「価値観が違う」ということ。そうなると、作品が面白いと感じる可能性は低いため読むのを避ける傾向にあるの――。

全2巻で良くまとめた。というのはあるかもしれない。ここについては、好ポイントだと思う。
超駆け足でストーリーをたたむ必要があって強制終了&巻末おまけで「その後のキャラクターたち」の行く末を描くのは良かった。

打ち切りされたのかネタ切れなのか、はたまた最初から2巻完結想定だったのか知らないけれど、話を継続して「タイトルも負けないくらい壮大に!」出来たらなぁ~と思う。

結城・父と伊豆丸&結城コンビの対決だけでもかなり重厚なストーリーを書けるだろうし、その結果を受けて世界編とかまで書けば「アンブロシア」にも見劣りしなくなってくるんじゃないかな?

各話の話自体は、こじんまりしているけれど要点を押さえてあるし、面白くない訳じゃない。
著者さんは、この辺りまで壮大に考えていたけど途中打ち切りされたって感じかな??

――話が大きく、良い意味で予想を裏切ってくれる展開になれば、かなり好印象に触れる可能性があっただけに残念すぎる。

結び

期待するから「残念」なんだよね。

期待していなかったら、「面白くない」「好きじゃない」「ここがおかしい」って並びたてた記事を書いちゃうから……。

目次