『重版出来!』に学ぶ仕事に正面から向き合う大切さ

作品情報:重版出来!

基本情報

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題名重版出来!
原題重版出来!
原作松田奈緒子
プロデューサー那須田淳(TBS)
東仲恵吾(TBS)
八尾香澄(C&Iエンタテインメント)
脚本野木亜紀子
演出土井裕泰
福田亮介
塚原あゆ子
製作株式会社TBSテレビ
音楽河野伸
主題歌ユニコーン/エコー
監修漫画監修:おおつぼマキ
漫画監修:泉二健人
編集者監修:株式会社Moss
編集者監修:株式会社アンジー
製作会社株式会社TBSテレビ
製作国日本
公開年2016年
話数全10話
出演者黒木華
松田苺
オダギリジョー
坂口健太郎
松重豊
荒川良々
森遥野
永岡佑
安田顕
高田純次
平埜生成
生瀬勝久
小松利昌
中村無何有
小日向文世
滝藤賢一
要潤
前野朋哉
永山絢斗
高月彩良
中川大志
ティーチャ(めいどのみやげ)
横田栄司
康すおん
内田淳子
ムロツヨシ
今井隆文
椿直
松嶋亮太
斎藤司(トレンディエンジェル)
足立理
田中聡元
船崎良
野々すみ花
濱田マリ
武田梨奈
富山えり子
中江有里
矢嶋俊作
ヒャダイン
内田慈
齋花漣
梶原善
最上もが(でんぱ組.inc)
千葉雅子
横澤夏子
中島ひろ子
蒔田彩珠
岩本俐緒
赤江珠緒
明和電機 土佐信道
永岡卓也
火野正平
安斎肇
滝口ひかり(drop)
鈴木望
牧野莉佳
市川真人
金子大地

あらすじ

柔道日本代表であった主人公・黒沢心は、怪我により選手生命を絶たれ一般企業へ就職する道を選ぶことになった。

大手出版社・興都館(こうとかん)に採用された黒沢は、週刊コミック誌『バイブス』編集部に配属され<編集者>として仕事に真正面からぶつかるお仕事ストーリー。

感想:重版出来!

感想

真面目に仕事に向き合えば報われる――って話じゃないのがポイント。

頑張っても報われない人間もいるし、過去の栄光にしがみついて堕落した人間もいる。大御所でもまともな人間性を持った人もいれば、若くして売れて大柄な態度をとる人もいる。
――リアルってのは、こういうことなんだろうね。

特に魅力的なポイントは、滝藤賢一さん演じる漫画家・高畑一寸に対して意見をぶつけた主人公・黒沢が涙するシーン。
素敵すぎるよね! 本作、一番の見どころだと思う。感情が溢れてくる様を見事に演じています。

濱田マリさんや、小日向文世さん、火野正平さんなど大御所俳優さんも出演されている一方で、お笑い芸人さんにアイドルなどバラエティに富んだキャスティングの本作ですが、一番うれしかったのは武田梨奈さんが出演されていること!

ここ数年、武田梨奈さんが一番かわいい女優さんだと思います!
特に『ワカコ酒』がねぇ~。こんな同僚が居たら仕事頑張れるのよ~。

作中で数字を打ち込み、それらの在庫本が処分されるシーン。
私自身は紙の本を買うのは電子書籍化されていない本の場合だけだから縁遠い物なんだけど、とても悲しい……。
何か有効活用する方法は無いのかな~。
福袋とかそういう“売り方”とか、初版数を抑えましょうって話じゃなくてさ――。

「運を貯める」って考え方は好きだなぁ。
私は、「運とは奇跡の重なった結果」だと思っています。だからこそ、バタフライ・エフェクト的に小さな事象によって、重なる奇跡が変わり運が変わるってイメージ。
いつか自分にも、そんな奇跡の重なりが来ると良いんだけどね……。

新人編集でも、漫画家を「1人」で担当するというのはあるにしても、持込みの判断を黒沢だけで実施しているという点は驚き!

そういうもんなんかねぇ。

五百旗頭(いおきべ)さんのサポートがあるとは言え、黒沢が一人で漫画の良し悪し(持込みの採用/不採用)を判断しているシーンに凄く違和感を覚えた。

漫画の編集者というのは「編集者個人の主観的考え」が“土台”になっているのかな?
編集者が「売れる」「担当雑誌に合っている」と思えば採用するって感じ――。それ自体は良いんだけど、それを今まで柔道一筋だった新入社員が担当しているって……。

作中にもあったけど、それで失敗したところで「企業勤めの編集者」はある程度の給与保障されているから、漫画家が(新人編集者の力量不足で)潰れようが良いのかな? と思ってしまった。

漫画はかなりの数読むけれど、「編集者の力」というのを意識したことが無い。
しいて言えば、誤字脱字や表記ゆれがあった時に「何やってんの?」と思うくらいだ……。
最近も登場人物の名前を間違えているコミックがあり、記事を書くの止めましたし、少し前には文字化けしているという、もはや商品として不適切な漫画もありました。

無料公開されている作品(プロ・アマ問わず)に対しては何も思いません。
しかし、金を払った商業作品となると、「なぜ、誤字脱字があるの?」という点に違和感を感じる。

ましてや、「文字化けして読めなくなった本を電子書籍として公開している」という悪魔の所業と思われるような作品もあります……。(これは確か個人で出版されていたはず。1巻は普通に読みて面白かったけれど、2巻は文字化けだらけで読めたもんじゃない。しかも、読めない本をあたかも読めるものとして公開して利益を得る行為は、もはや詐欺だと思うの。作品名は出さないけどさ!)

こういう本のトラブルがあった時、「編集者/出版社は何してるん?」と思う事はある。
けれど、「編集者/出版社のこういう所は凄いな!」「編集さんの腕が光るな!」という事を感じたことは無い。

ただ、こういう表に出ない編集者の頑張りによって、世の中にたくさんの作品が生まれ出ることを知るキッカケになりました。

仕事に真正面からぶつかることは若い人の特権かなぁ。
いくつになっても出来ることではあるけれど、歳をとると“一生懸命”と“対価”が釣り合っていないから、そういう事ってしなくなるよね~。
それが大切ってことは分かるんだけど、これまでの報われなさから考えると……ね。

結び

一生懸命で真正面から向き合って、それが報われようが、報われなかろうが、その人が納得できて周りに迷惑をかけないならば、好きな働き方で良いと思う。

長年同じ会社に勤めていれば、このくらい成果を上げれば昇給するという感覚がつかめる。
ノルマ制でもない限り、それ以上の成果を上げても給与が比例して伸びないことは言わずもがなで、その成果が翌年(翌年度)に反映されることは無い。

であれば、「昇給するギリギリの成果を上げて、のんびり仕事する」のが効率的。

それが私の生きる道――。