映画『人狼ゲーム プリズン・ブレイク』感想と必勝法の考察

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作品情報:人狼ゲーム プリズン・ブレイク

基本情報

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題名人狼ゲーム プリズン・ブレイク
原題
原作川上亮『人狼ゲーム PRISON BREAK』
監督綾部真弥
脚本川上亮
綾部真弥
製作総指揮吉田尚剛
音楽沢田ヒロユキ
主題歌きそひろこ/Lycoris
撮影伊藤麻樹
編集岩切裕一
配給会社AMGエンタテインメント
製作会社メディアンド
アミューズメントメディア総合学院
製作国日本
公開日2016年07月02日
作品時間99分
出演者小島梨里杏
渡辺佑太朗
山谷花純
清水尚弥
岡本夏美
花影香音
篠田諒
金子大地
小山莉奈
濱正悟
池田和樹
梅村紗瑛
太田温
堰沢結衣

あらすじ

高校生男女12人。
建物内で命を懸けた人狼ゲームをすることになった。

12人の中に人狼は3人。
村人陣営には、預言者、用心棒、霊媒師、共有者の役割を持つ者がいる。
そんな中、主人公に割り当てられたカードは「狂人」であった……。

感想と考察:人狼ゲーム プリズン・ブレイク

感想

ルールは前作と同じで村人サイドに「共有者」が入り、「狐」の代わりに「狂人」が入ったストーリー。

預言者の預言方法も教えるのね。
駆け引きの材料が少し減ることで、議論のパターンを過去作と変える目的かな?

説明表現も見直されている。
これまでは「勝利した方」だったのが、「勝利した側」になっている。
「勝利した方(かた)」なのか「勝利した方(ほう)」でニュアンス変わるからね。

これね。大事よ!

個別に1億円がもらえるのか、チームに1億円がもらえるのか変わるでしょ?
これまでは、は登場人物が何の迷いもなく「ほう」って読むから違和感あったのよね。

それにしても「説明映像」が見づらい。目がチカチカした。

前作の第三勢力「狐」と違い、「狂人」は村人と同じ能力。
ただし、狂人は<人狼勝利>で“狂人も一緒に勝利”となる。

第三勢力というよりも、人狼側で「村人陣営の裏切りモノ」ってイメージ。

さて、ゲームが始まると「主人公の引いたカード」が分からない状況だった。
というか、人狼も誰か視聴者側にもオープンにされない。

これまでの流れとは、ちょっと違う。

1日目の襲撃が終わった時点で以下のような予想を立てました。

・「プリズン・ブレイク」=脱獄というタイトルから、全員が何らかの「罪を持つ者」ものであり、建物から「正規の手順ではない方法」で脱出を遂げる作品ではないか?
・「狂人」という新役柄が出てきた時点で、主人公 or 幼馴染は「狂人」だろう。
 前作では、主人公が「狐」だから「狂人」であると考えるのが自然。幼馴染が変わっているキャラ設定はミスリード。

さて、2日目投票。

新しい預言者が出てきた。
けど、本来なら初日に預言者を名乗り出た「阿久津」を占うのが通常行動じゃないの?
新預言者の「反論してくるお前。昨日占ったけど人狼だったわ~」は展開が微妙すぎる。

これが本当に人狼だったら、正義感で昼間騒ぎ過ぎたせいだから行動ミスってるよなぁ。
という事は、丸山・兄と及川が手を組んで全体操作しようとしてるのかなぁ? というくらい騒ぐ。騒ぐ。

4日目朝(冒頭60~70分)の時点での私の予想。

人狼 =丸山・兄、阿久津、(死亡:及川)
預言者=(死亡:誰か……)
狂人 =主人公・乾
共有者=丸山・弟
霊媒師=みづき
用心棒=幼馴染・相馬

上記はあくまで予想で、メタ要素も含めた展開を考えました。

3日目夜の襲撃で役職不明の主人公・乾を守った時点で「用心棒」は幼馴染・相馬で確定。

そうなると、相馬を「黒」と言った預言者・阿久津は人狼。
なぜかお互いを占わない「丸山・兄」も人狼だろう。
このお互いに「占って人狼だった」という流れじゃなくて、占いもしない流れの違和感が凄い。
相互に守り合って、「票操作」している感じがするのよね。

「丸山・兄」が及川を人狼と言ったのは、あの時点での投票で「丸山・兄」に投票が集まりそうだったため。
同陣営のどちらかが処刑されそうな状況だったから保身を考えたのだろう。
もっと深く考えているならば、霊媒師が生きていた場合に「占い結果が人狼だった」という裏付けが出ると、その後の「丸山・兄」の占いの信憑性が強くなるから、そのために切り捨てたのかな?

「霊媒師」=みづきの真偽だけど「及川が実は村人だった。自身(みづき)の人狼を擦り付けた上で、丸山・兄と組んでいる」可能性もあるのよ。
「丸山・兄、丸山・弟、相馬、みづき、阿久津」で手を組めば半数近い票を取れるから投票での負けがほぼ無くなるんだけど、そういうシナリオじゃない時点で「みづき」が人狼じゃないと思うのよね。

本作での「プリズン・ブレイク」は恐らく「ワイヤーの破壊」を意味しているから、陣営が読めない。
投票で処刑されたと思ったけど、実はワイヤー壊しててセーフ……というのがありえる。

今までとは違い、「主人公を含めた役職がオープンされないストーリー」だから楽しめるね!

予想はここまでにして、本編の話。

ワイヤーの破壊に成功して、投票に現れない丸山・兄。
その後、自分たちのワイヤー破壊シーンが映らないのは、オチに「実は破壊してました」に繋がるために意図的に演出を伏せているのだろう。

さて、脱獄成功した「丸山・兄のお粗末な展開たるや。

は? なんじゃそれ! 車道に出て止まったら、そりゃそうなるでしょうよ。
そして、新たな犠牲者が投票で決まる……。

そして翌日。
「村人陣営×2、狂人×1、人狼×1」で、狂人が名乗り出た時点で「人狼の勝ち確」。

さて、どうするの?

というと、あの流れ。
良いね! そこでワイヤーの話が繋がるのね。

ここから先はネタバレになります。

「相手の決めたルールに従わず、人狼ゲームではありえない生存パターン」で脱出してる。
そして、最後の疾走シーンで、「プリズン・ブレイク」(=脱獄)」というサブタイトルも回収してる。

いや、おもしろかった!

本作もエンディングのスタッフロールで役柄が併記されていました。
私の予想――、悪くは無いけれど合って無い!!

う~む。面白い!!

考察

丸山・兄が抜け出したのに全員処刑にならなかった理由

あのエンディングを観た人なら、ふと感じるであろう疑問。
「ルール違反=全員死亡」なら、あの時点で死んでいたのではないか? と……。

冒頭の説明では、「ルール違反した場合は全員処刑される」という表記は無かったんです。

「ルールに従わない場合、全員処刑」は後付けルールであると考えられるでしょう。

丸山・弟が処刑された理由

逆に、なぜあのタイミングで死ぬの? と思った人もいるだろう。

あれは2人(厳密には主人公・乾)のせい。
乾がワイヤーを破壊したことで「ルールに抵触して全員処刑」となり、まきこまれる形で丸山・弟が死亡したと考えられます。

必勝法を考えてみる

村人陣営が勝つ方法

村人サイドが人狼サイドをつぶすのは簡単だと思いました。

人狼襲撃に選ばれたら「100%死ぬ」訳で、「どうせ死ぬ」のであれば人狼を巻き込めばいい。
役柄カードを手にもって置き、見せつけることで「両者ルール違反」で「ルールのもとに処刑する」=確殺できます。
はい、犠牲は2人(投票&襲撃)+3人(人狼)で村人陣営の勝利ですね。

個人が勝つ方法

でも、死にたくない! それに、1億円を少人数で受け取りたい!!

じゃあ、人狼でも村人でも使える別の方法を考えてみる。

ルールでは「“自分”のカードを見せても」処刑されると明記している。
「他人のカードを見せつける行為」はルール違反ではない。しかし、そのカードを見た方は「ルール違反」で処刑対象となる。

お互いを知っている共有者や人狼同士がカードを交換して、全員に見せつけることで「周りを全員」を殺せばOK。
それなら、カードを交換した2人で山分けしてゲーム終了。
2人で交換したなら、そのカードを見せつけられても「自分のカード」だから事故を起こす可能性はゼロに近い。

仮に引き込めなかったら、1日目の投票後に亡くなった遺体からカードを抜き取って使えばいい。
「利き手とカードをしまっているポケット位置」で裏表は予想できるから、自分が見ないようにカードを取り出して見せつければOK。

ただ、殺す順番を間違えると「瞬間的に自分とは違う陣営が半数になる」可能性があるのが怖いところ。
しかし、本作では「監視カメラによる人の目でチェック」している。
だからこそ、同時多発的に“事象”が発生した場合には、その連続した結果のみで判断すると思うのよね~。
(じゃないと、エンディングで相馬が助からないことになるからね。)

電気が通っている、家電(業務用冷蔵庫やテレビ)が存在する、電線が近くにある、周りは木々に覆われている――と、他にも“プリズン・ブレイク”する方法は色々思い浮かぶんだけど、この辺にしておきましょう。

<ルールを破る>なら、ちゃんと考えて欲しいと思う反面、そうするとストーリーが10分で終わるから出来んよね~というジレンマ。(連ドラの1話分とかならアリだろうけどさ。)

「他者のカード」を持つことで絶対的な武器になる本作のルールが、ちゃんと利用されることを期待したいものです。

結び

お金に執着していない高校生が登場人物という設定も、そろそろ変えて欲しいところ。

1億円の賞金を目的にして集まっていないから、高校生という設定にあまり意味を見出せないのよ。

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