映画『人狼ゲーム ラヴァーズ』シーズン初の運営側の実態に触れる作品

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作品情報:人狼ゲーム ラヴァーズ

基本情報

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題名人狼ゲーム ラヴァーズ
原題
原作川上亮『人狼ゲーム LOVERS』
監督綾部真弥
脚本川上亮
綾部真弥
製作総指揮吉田尚剛
音楽ペイズリィ8
主題歌中村慈/ラヴァーズ
撮影伊藤麻樹
編集岩切裕一
配給会社AMGエンタテインメント
製作会社メディアンド
アミューズメントメディア総合学院
製作国日本
公開日2017年01月28日
作品時間108分
出演者古畑星夏
池田純矢
佐生雪
平田雄也
溝口恵
前田航基
森高愛
安藤瑠一
春川芽生
鈴木知尋
中村萌

あらすじ

高校生男女11人。
建物内で命を懸けた人狼ゲームをすることになった。

11人の中に人狼は2人。
村人陣営には、預言者、用心棒、霊媒師の役割を持つ者がいる。

本作では「キューピッド」が存在していて……。

感想と考察:人狼ゲーム ラヴァーズ

感想

ルールなど細かい部分が前作から少し変化しています。また、「キューピッド」が登場します。

原点回帰なのか蜘蛛の映像からスタート。

今回は少し引きだけど、印象は悪い立ち上がりとなりました。
しっとりとした音楽で、人狼のゲームの舞台が映しだされた後、暗転してタイトル『人狼ゲーム ラヴァーズ』が表示される。

違和感。圧倒的な違和感がある。

そこから本編スタートな訳ですが、オープニングもしっとりだけど、本編も過去作よりトーンが低め。
声を張り上げることはあっても、キンキンしない点が良かった。
と最序盤は思っていたけど、最序盤だけで人狼ゲームが始まったらいつもどおり(いつも以上)でした。はい。

今作では、またルールが変わり「村人が処刑するルール」に変化しました……。
う~ん。このルールは、あんまり好きじゃないのよね。

キューピッドは「1時間経過するまでに2人を指定」するという話だった

キューピッドについて
1.キューピッドに指定された2人はサブ役職「恋人」が付与されて、片方が死んだらもう片方も死ぬ。
2.恋人が生き残った場合、恋人&キューピッドの勝利ということで、第三陣営扱いになる。
3.キューピッド、恋人2の勝ち筋は、この恋人2人が生き残る「恋人陣営」しかない。
4.恋人は「生き残っているだけで勝利」だから、村人からしても人狼からしても邪魔者。
5.キューピッドの死は恋人陣営に影響しない……。

主人公・高野と202号室の海老原が恋人になったことが分かる。

さて、タイトルが「ラヴァーズ」なんだから本作は「第三陣営(恋人陣営)」が勝ち残るって先入観を持って観ることにしました。
ただ、キュービッドについては死んでも恋人2人に関係ないから、そこの生死は分からないかな?

その後、キューピッド名乗り出る。
恋人2人とキューピッドの3人の密談。
けれど、主人公も海老原もメイン役職明かさないままストーリーが進む。
サブ役職の登場で、こういう話運びが出来るのね。面白いわ。

1日目の投票。

衝撃の事実。全員2回戦だった!

じゃあ、スマートな演出になるかな~と思ったら、「え? 2回目なんだよね?」というくらいに泣き叫ぶし、設定理解してる? ってくらいに、荒れ狂ってる――。

冷静とか言いつつウザイ奴を最初に投票したまでは良いのに、そこからの流れが嘘臭かったのが残念ポイント。

本作はお金の執着について、シリーズで初めて(やっと)触れている。
いいね。そういうの大事よ。
血液癌とか重たい話まで引っ張りだす必要性があるか? は、後の展開に期待するしかないけれど、“賞金”を出す以上はお金に絡んだストーリーは必要よね。

さて、人狼の正体が判明しました。

主人公・高野と自称霊媒師・虎之介。
主人公の情緒不安定さが鬱陶しいが、これが後の伏線になるのかな?

さて、1日目が明けたので少し状況整理。
プリズンブレイク(の環境やルール)が1回戦というイメージで話が進んでいる。

前作のプリズンブレイクが「人狼ゲームの決着後にストーリーがあった」から、本作も何らかの展開がある可能性があるというのが私の中での注目ポイントでした。

本作の流れが「キューピッド・ひなた、恋人・海老原、主人公で人狼・高野、もう一人の人狼・虎之介」となってゲーム終了だとしたら、お粗末。

キューピッドの立ち位置に「誰が来るか?」で本作の面白さが、かなり変わる。
「(上辺だけの)本当の恋人」を持ち出した時点で、「人狼ゲームの恋人」と対比させたストーリー展開を期待したいのが1日目終了時点の感想。

さて、2日目。

「みんな2回目でしょ?」という人間が、なんたる情緒不安定!
違和感が凄いね。どんな伏線になるのか期待してしまう――って、さっそく虎之介の恋人が。。。

人狼の襲撃が「手作業」である以上は、バリケード作るとか考えないのかな……。
襲撃を(物理的に)耐えきれば、人狼サイドが「ルール違反」で処刑されて終わりなんじゃないのかい!?

冒頭1時間でキャットファイト。

「人狼ゲームの運営側をあぶり出して殺す」っていう割に、ルールの穴を突こうともせず口だけの海老原。
態度が悪い割に、ちゃんとゲームに参加して1人目を手にかけてるしさ……。
前作のプリズンブレイクみたいな「足掻き」が無いから、茶番というか真剣みに欠けてるようにしか思えない。
ゴチャゴチャ言うのは良いんだけど、「生に執着する」「運営側をあぶり出す」のであれば、そういう思考・動きをしてほしい。

3日目の投票。

ここにきて、初めて「人狼ゲームの(元)運営者」が登場した。

「賭け」の対象にしているという話が時点で、監視カメラを壊すという発想にならないのかね。
運営側が最も避けたいのは「視聴者(賭けている人)を落胆させること」だよね。
だとするなら、賭けの内容(人狼ゲームの内容)が見られないのは避けたい。

主人公の父親の「事業失敗」が「人狼ゲーム」に関連してるんじゃねーかな? と思ったら、まんまそれ。
主人公・高野は、父親に生贄として人狼ゲームに差し出されたと――。

シリーズが大きく動く重要な会話してるのに、ここにBGM付けないんだ!? って、驚きの方が強かったシーンでした。

帰る場所が無かった――という話をするなら、家族が心配してるかな~って話を前半で持ってきてほしかった。「家族のためにー、お金が必要なのー」じゃなくてさ。

4日目投票。

ん????

唐突な展開。この展開は分からん。

「キューピッド、村人(用心棒)、村人(恋人)、人狼、人狼(恋人)」の最終投票。
主人公は「人狼(恋人)」のポジションで、恋人陣営を勝ちに向かわせる。

ここで取るべきは、キューピッド、恋人2人が示し合わせて3人で「村人(用心棒)」を指すでしょ?

なんで、キューピッドをターゲットにしたん?
キューピッドを殺すということは……もしかして、1億の賞金ねらいか?
だとすると、入会金1億円って話が……と思ったら、思い描いた流れになった。

ただ、ここで生贄の話だすのね。しかも、生贄の対象が「妹」なのか。
そこは想定外。
妹を心配する件は、ここに自分名義で出せるか? って話だったのか。
そこまで主人公のネジが飛んでるような描写は無いって認識してるんだけど……。

シリーズ全体が動いた作品になったんだけど、どうにもしっくりこない。

人狼ゲーム後に気絶させられないし、「人狼ゲームが終わってから殺害する」という、言い訳不可の殺人行為をしているから、主人公を擁護できない。(父親と揃ってド屑じゃねーか。)

主人公の心の変化に関する描写が伏線になっている感じが無いんだけど、エンディングの曲名「決意」になんか絡んでるのかな?
2回戦にも拘わらず、狼狽えて泣いたり喚いたり、かと思えば、突如冷静になる情緒不安定にはどんな意味があったんだろう?

エンディング曲は凄い良かったから、全て良しとしましょうか。

必勝法になりそうな鍵

ふと思ったんだけど、「霊媒師やら預言者が名乗り出た後」で各個人がカードを「トレース」して持ち寄ればいい。

トレースなら、素人でも「ほとんど線はズレない」でしょ!

預言者・霊媒師とか専門職のカードは分からないかもしれないけれど、村人がトレースした図がピッタリ一致するならば、それは村人確定な訳です。

その「絵のタッチ」から人狼か? 専門職(預言者・霊媒師・用心棒)か? は分かるかもしれないし、分からないかも知れないけれど、他者のカードを見てはいけない+参加者は全員前半戦の経験者であれば、判断材料になる。

仮に前半戦でその専門職だったとしても「トレース」の絵を記憶だけで再現することは一般人は無理だと思うし、「前半戦同じだった人が居る」から前半戦で名乗っていた役職も分かるでしょ。
(仮に前半戦で霊媒師で、今回も自称霊媒師ならトレース結果は信用できない……など。)

人狼は「人狼の絵しか手元にない」から、かなりのプレッシャーになるでしょう。
前半戦のカードは持っている描写が無いですから、記憶に頼って「村人の絵(あるいは自称した役職の絵)」を描くしかないのです。

このトレースを拒否する人間から釣っていけば村人陣営の勝ちは濃厚になるかな?

考察

エンディングとオープニングの映像

本作のオープニングって、すごい異質だったんだよね。
感想でも書いたけど、「しっとり」してる感じで引っ掛かった人も多いと思う。

それでエンディング。
オープニングと同じような映像が流れる訳ですが、なぜでしょう?

これは、主人公・高野が「次の人狼ゲームの準備をした」と考えました。

最初は「オープニング映像は、実はこのゲームの後に起きた映像を持ってきてる」と考えたのですが、それだと映像が微妙に異なっている点がしっくりこないため、「次の人狼ゲームの準備」と捉えました。
前者の場合、全く同じ映像を使った方がコスト削減できるのに、あえて別映像にしていることには理由があると考えられるのです。

こうなると、テレビの画面を通じて「指示が来た」=人狼ゲームの運営側に入った(掛ける側ではなく下っ端の工作員みたいな)=主人公・高野は「明確に“人狼ゲームの運営側”に回った」と表現しているのでしょう。

本作の冒頭では、朝10時05分ごろから人狼ゲームが始まりました。
→10時05分 スタートの映像が流れています。これが分かるように絵テレビ映像前に時計を含めた全体像が一瞬映るのです。

一方で、本作のエンディングで高野が退室したのは、朝7時15分ごろとなっています。
→扉を閉めるシーンで、部屋の時計が確認できますよね。

このことから、高野の退室後に新たな参加者が運び込まれて、ゲームが始まるのではないでしょう。

結び

次作は、高野の妹が主人公(または参加者)になるのかな? って、思ったけどそれは無いよね。

プリズンブレイクで逃げたはずなのに、作中で一切触れてないから別世界線って考えた方が良いのかも。
それでも、運営側に関するネタは増える可能性はあるね。

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