『ファイナル・デスティネーション』の考察と死の運命

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作品情報:ファイナル・デスティネーション

基本情報

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題名ファイナル・デスティネーション
原題Final Destination
原作
監督ジェームズ・ウォン
脚本グレン・モーガン
ジェームズ・ウォン
ジェフリー・レディック
製作グレン・モーガン
クレイグ・ペリー
ウォーレン・ザイド
製作総指揮リチャード・ブレナー
ブライアン・ウィッテン
音楽シャーリー・ウォーカー
主題歌
撮影ロバート・マクラクラン
編集ジェームズ・コブレンツ
配給会社ニュー・ライン・シネマ
ギャガ
製作会社ザイド/ペリー・プロダクションズ
ハード エイト ピクチャーズ
製作国アメリカ合衆国
公開日2001年01月20日
作品時間98分
出演者デヴォン・サワ
アリ・ラーター
カー・スミス
トニー・トッド
クリステン・クローク
ショーン・ウィリアム・スコット
アマンダ・デトマー
チャド・ドネッラ
ブレンダン・フェア
フォーブス・アンガス
ロバート・ウィスデン
ラリー・ギルマン
ダニエル・ローバック
ロジャー・グーンヴァー・スミス
フレッド・キーティング
ジョン・ハインズワース
マレット・グリーン
ランディ・ストーン
マーク・ホールデン

あらすじ

修学旅行でパリに行くための飛行機が離陸する少し前のこと。
主人公のアレックスは、その飛行機が大事故に遭う夢を見る。
そしてその夢は現実となった。

主人公を含む7名は飛行機事故を回避した。
しかし、そんな生存者たちに“死の運命”が次々と襲いかかるのだった。

感想と考察:ファイナル・デスティネーション

感想

開始15分できっちり爆発シーンを持ってくる、お手本のような始まり。
飛行機事故のシーンを最初は内側から、後から外側から描かれているのが良いですね。
あのガラスが粉々になるシーンは感動しました。(おいおい。)

トッドや先生にフォーカスがあてられたシーンでは、ジワジワと運命が迫ってくる感じが見事に演出されています。
作品全体を通して、風や水、火に雷といった自然物を“死の運命”=恐怖の対象として描かれているのもポイントです。

この飛行機は爆発するぞと言って飛行機を降りて、実際に爆発したらFBIも疑うでしょうよ。という感じですが、クレアを除き信用されない状況下で懸命に周りを救おうとするのは真に主人公だなと感じるものがあります。
一人語りしているシーンが多いため、単純に運命に抗いたかったという風にも見えますが周囲(特にクレア)を救うために奔走してるんですよね。

人に対して疑心暗鬼というのは他作品でも見かけますが、身の周りの事象すべてに疑心暗鬼になる状況は生きていけないですね。
部屋の中で一人見えない何かにセリフを言うアレックスは疑心暗鬼そのものでした。

最後の最後まで楽しませていただきました。
「あちゃ~。」と言ってしまうほど、本当に素晴らしいラストです。

さて、ファイナル・デスティネーションシリーズは2022年現在で5作まで作られております。
本作については、テレビ放映版も含めて何度も見ましたが2作目以降は見たことがありません。

トッドの遺体安置所で出会った不気味な男の「また会おう」が、次作へ繋がっているのかが楽しみですね。
トッドとアレックスが友人であることを知っていたし、本作で“何者か?”が描かれていないため、次作以降に「何者か?」が描かれていることを期待しています。

本作では、悪魔や死神のような具体的なナニカが映像として出てきません。
本当にいるかどうかも分からないナニカを相手に進むストーリーは、20年以上たった今でも新鮮だと感じることができます。

トッドの遺体安置所で出会った不気味な男のセリフが、「視聴者へのメッセージ」な気がしてなりません。

不慮の事故など存在しない。
死は偶発的なものではなく必然だ。
(中略)
それはすべて死の筋書きの一部だ。
(中略)
筋書きをいじることは死神を冒涜することだ。

引用元:ファイナル・デスティネーション

考察

飛行機が「180便」である理由

これは悪魔の数字と言われる「666」の各桁を足した「18」が由来と予想。
原題が「Final Destination」になる前、題名が「Flight 180」だったので数字自体にこだわりがあるとみてよさそうです。

空港掲示板の「TERMINAL」にカメラが寄った理由

英語メモにも書いたとおり「終わり」を表す言葉であるため、この先の主人公たちの“死の運命”を暗示する演出。
(どう足掻いてもこの運命に収束するんだよ。というアイロニーも感じます。)

生存者の7人が狙われる理由

「“死”が逃れない運命」であること。
それに加えて、「死神の筋書きを書き換えたこと」による死神の怒りに触れたこともあるように感じました。
これはトッドの遺体安置所にいた男が暗示していたことですね。

アレックスは“死の運命”から逃れたのか?

クレアを助けた後で呼吸が止まっていたシーンがありました。
そのあと、ちょっとだけですがFBI捜査官の心臓マッサージするシーンがあったため一時的に亡くなった状態と言えます。

これで、死の筋書きを全うした上で生きていることにならないでしょうか。
ということは、アレックスは“死の運命”から逃れたのではないか? と考えましたが、その結果は6か月後に分かりますね……。

なぜ6か月が経過したか?

これも悪魔の数字「666」から来ているように思えます。
生存者3人が6か月経過――。
視聴者側に「この数字は悪魔の数字。最後まで安心するなよ?」と暗示しているのかもしれません。

英語メモ

Final Destination

映画の原題。意味は「最終目的地」。
本作では「最終目的地=死(人の最期)」を暗喩しているのでしょう。
ちなみに「TERMINAL」は「終点・終端」の意味です。

This is The END

冒頭のシーンで本に赤字で書かれていた文章。
字幕にも出ていたとおり意味は「これで終わりだ」。
“死の運命”から主人公へのメッセージなのでしょうか……。

Tropic of Cancer

空港でクレアが読んでいた本のタイトル。意味は「北回帰線(きた かいきせん)」。
ヘンリー・ミラー作のパリの日常を描いた実在する小説で、1961年にアメリカで「わいせつ文書として発売禁止」になった過去があります。後に最高裁判所にて「わいせつ文書に該当しない」という判決が出ています。
(修学旅行でパリに行くから、パリが舞台の小説を読んでいるのでしょう。)

ちなみに、日本でも翻訳版が売られています。

コーヒーと窒息死が似ている?

カフェでクレアが言ったセリフの中で「コーヒーと“窒息死”はスペルが似ている」というものがありました。
実際には下記引用のセリフを参照ください。

コーヒーは“coffee”、窒息死は“choke”を指しています。

※Google翻訳で「窒息死」と調べたら、“suffocation”と出てきました。
 「似てるかな?」と思いましたが、動詞の「窒息させる(choke)」で理由も英語原文では説明されていました。

Coffee.
Starts with a C and ends with an E.
So does the word choke.
So, what, we’re gonna choke to death?

コーヒー(coffee)は、Cで始まりEで終わる単語。
窒息死(choke)という言葉もそう。
じゃあ、私たちは窒息死するというの?

引用元:ファイナル・デスティネーション

結び

この作品を観て、日本では「耳をすませば」でおなじみの曲「カントリーロード」の原曲作者であるジョン・デンバー氏が墜落死したことを知りました。

本作はホラー映画ながら、殺人鬼もゾンビも幽霊も悪魔も死神もモンスターも出てこない。
演出面において、過度なジャンプスケアがないことも好印象でした。

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