作品情報:エグザム
基本情報
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題名 | エグザム |
原題 | EXAM |
原作 | – |
監督 | スチュアート・ヘイゼルダイン |
脚本 | スチュアート・ヘイゼルダイン サイモン・ギャリティ |
製作 | スチュアート・ヘイゼルダイン ガレス・アンウィン |
製作総指揮 | – |
音楽 | スティーヴン・バートン マシュー・クラックネル |
主題歌 | – |
撮影 | ティム・ウォースター |
編集 | マーク・タルボット=バトラー エマ・スタイル |
配給会社 | クロックワークス |
製作会社 | ベッドラム・プロダクションズ ヘーゼルダイン・フィルムズ |
製作国 | イギリス |
公開日 | 2010年07月17日 |
作品時間 | 101分 |
出演者 | ルーク・マブリー ジェンマ・チャン ジミ・ミストリー ジョン・ロイド・フィリンガム チュク・イウジ ナタリー・コックス ポリアンナ・マッキントッシュ アダル・ベック コリン・サーモン クリス・ケアリー |
あらすじ
ある企業の就職試験。
最終試験まで残った8人。それぞれの机に置かれたのは白紙のテスト用紙。
試験監督からの説明は以下のとおりだった。
「与えられる質問は一つ、求められる解答も一つ。
ただし、試験監督及び警備員に話しかけたら失格。
自身のテスト用紙を損なったら、故意であれ事故であれ失格。
ここからの退室を選べば、その者は理由を問わず失格。」
制限時間は80分。試験結果はどうなるのか――。
感想と考察:エグザム
感想
スチュアート・ヘイゼルダイン監督初の長編作品。
試験部屋の雰囲気と、様々な人種が集められたキャスティングで「企業」のすごさが語らずも演出されていますね。
試験監督は説明後すぐに退室。早々に失格になった1名を除き、7名で協力しあうという“就職試験”としては不思議な光景から始まるのは面白い。
倫理観や常識がどんどん無くなっていき、疑心暗鬼になっていく様が見事に描かれています。電灯をたたき割って、ブラックライトで照らされた部屋で「CUBE」を思い出しました。
開始30分のフランス語のセリフに対して、「何もしていないのが問題だ!」と怒鳴るシーンが伏線になっているのが秀逸です。
ウイルス/抗ウイルス薬の話が出るも、それらは候補者の会話にとどまり「感染~死亡」に関する外部シーンは無く、あくまで「一部屋の中で起こるシチュエーションスリラー」=「企業の説明」に徹しているのがポイントです。
ラストで明かされた「与えられる質問」というのがアッサリしていて拍子抜けした感じは否めないけれど、時間や弾丸の伏線についても綿密に作られていて面白かったです。
就職試験の枠を超えない範囲でのストーリー展開、どんでん返しが良かったと思います。
考察
鉛筆で解答を記入したら失格となった理由
与えられた白紙の紙に対して、「解答は記述するものではない」という意味を表しています。消しゴムが部屋にないためか、復元可能であってもテスト用紙を損なうには十分という演出。
試験監督に話しかけても失格になるため、解答方法が予想しづらくなっています。
候補者4の失格タイミングが少し遅い
これは製作側の都合な気がします。
一人目の失格者が鉛筆で解答を記入して少しして失格になったことに対して、候補者4は「自分のテスト用紙が見当たらない」タイミングで失格になりました。
他の失格タイミングと比べても、テスト用紙を損なってから失格になるまで、かなり時間が長いことが分かります。
ダークの内太ももにあった傷
ブラウンが拷問しようとしたタイミングで既にあった傷あとは、レッグカットと推測。
(リストカットが手首の自傷行為に対して、レッグカットは脚の自傷行為)
傷を見たブラウンが「仕事でも家でも評価されない?父親に嫌われていたか?」などと問いかけるのは、過去の虐待やトラウマ、現状の心理的なストレスから自傷行為を行ったのではないかと推測したためのセリフと考えられます。
ウイルスの正体
作中の情報から、新種の致死性ウイルスであることは分かります。
候補者の中に感染者がいることが分かってもパニックにはなりませんでした。
このことから、空気感染や飛沫感染では無いでしょう。
若い人間が多く罹患するウイルスであり、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)のような接触感染であると推測しました。
ただし、「自分が感染しないようにするので、精いっぱいの奴らばっかりだ」というセリフから、試験部屋に居ない生物による媒介感染の可能性も否定できませんね。
※スチュアート・ヘイゼルダイン監督のインタビュー記事で、「鳥インフルエンザに対するパラノイア」に影響を受けたと書かれていました。
フランス語から英語に言い換えた理由
ずっとフランス語で話をしていたのに、最後には「あえて英語」でセリフを言います。
最初から英語ではなく、フランス語のあとで英語を言い直す演出が入っていますね。
この演出は、相手のことを思いやって接している(認めた)と受け取りました。
警備員の弾丸といい、誰かを傷つけるゲーム等のつもりはなく「真の意味で就職試験=人選」をしていたことが分かります。
英語メモ
Exam
映画の原題。意味は「試験」。
CANDIDATE
それぞれの机におかれた紙の表紙に書かれていた文字。意味は「候補者」。
I believe I deserve of just ~.
最初の失格者が解答用紙に書いた文章。意味は「私は〜の価値があると信じています」。
結び
コンプライアンスが叫ばれる昨今。こんな試験をすれば大炎上するでしょう。
と思いつつも、「候補者の勝手な先入観に思い込みと疑心暗鬼を重ねた結果」であり、振り返ってみると試験自体は常識的という対比が面白いです。
候補者目線では試験の意図が分からない閉鎖された空間で疑心暗鬼になっていきますが、企業側の目線で見ると「ヤバイ奴ら」が勝手に電灯を叩き割り始める異様な光景に見えて、また別のスリラー要素を感じることができます。
候補者の人生を弄んでいる感じは否めないが、結末としてはハッピーエンドで良いのかな。