作品情報:エスケープ・ルーム
基本情報
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題名 | エスケープ・ルーム |
原題 | ESCAPE ROOM |
原作 | – |
監督 | ウィル・ワーニック |
脚本 | ウィル・ワーニック ノア・ドーシー |
製作 | マイク・バンドリー |
製作総指揮 | ジェフ・デルソン ドン・デルソン ジョイス・デルソン デビッド・ケイメンス |
音楽 | ジェレミー・マイルズ・ファーガソン |
撮影 | ジェイソン・グッデル |
編集 | クリス・メルテンス |
配給会社 | ボルテージ・ピクチャーズ |
製作会社 | エスケープ・プロダクションズ |
製作国 | アメリカ合衆国 |
公開日 | 2017年10月17日 |
作品時間 | 89分 |
出演者 | エヴァン・ウィリアムズ アナベル・スティーブンソン エリザベス・ハワー ダン・J・ジョンソン ジョン・イラルディ ケリー・デルソン アイリス・アヴァリー ダレル・チャーニー キャシー・ダイアン・トムリン カリ・フレドリクス ランス・キャラウェイ デビッド・ヒル ケビン・アルソフ エミリー・バカン ビリー・フリン レキシー・ハモンズ ブリエンヌ・ラ・フレアー ライアン・メルケード ジョセフィン・ニルソン |
あらすじ
主人公・タイラーの誕生日。
彼女・クリステンからプレゼントとして贈られたのは「エスケープ・ルーム」への招待状。
1枚1000ドルする高額のチケットを自ら手配したクリステンを含め、誕生日会に参加していた男女6名で「エスケープ・ルーム」へ挑むのだった――。
感想と考察:エスケープ・ルーム
感想
『#フォロー・ミー』で有名なウィル・ワーニック監督の作品。
アダム・ロビテル監督の同名タイトル『エスケープ・ルーム』とは無関係の作品です。
さて、『#フォロー・ミー』と同様に前置きが長い。
すご~~~く前置きが長い。
もしも、『#フォロー・ミー』を見たことが無いなら、かなり驚くと思う。
90分の作品で冒頭30分は説明。エスケープ・ルームに入るまでの経緯を淡々と(感情移入できない形で)説明されるムービー……。
さらには、登場人物の微妙なキャラ設定。
誰にも感情移入できないし、誰も応援したくないキャラばかり。
もうね、全員死んでくれ。凄惨な死を遂げてくれ。 と願う冒頭30分――。
ここで冒頭の違和感が凄いよね。
「お金目的」あるいは「誰かに拉致され閉じ込められた」じゃなくて、「なんか良く分からんけど、自分たちから挑もうぜ!」というこの映画の流れ……。
でも、これがウィル・ワーニックさんらしいなぁ~と思うのです。
人間ドラマを描きたいけどテーマ選定がズレてるというか、わざわざ「ホラー」や「スリラー」のジャンルを選んで「そのパニックとかと関係ない人間模様」を描く……。
そして、エスケープ・ルームに入ってから謎解きスタート。
謎解き・ギミックも雑なら、その死も雑で残念。
「ドクガスダー」はまだいい。
でも、それを受けて「トビラヲアケナキャ」は無い。
むしろ、自身の部屋までガスが流入しないか心配する方が直観的な動きでしょ。
そこからの痴話げんか。
もう、ええって。そんな流れやシーンを観たいわけじゃないのよ。
で、次々に人が死んでいくお決まりのパターンにも違和感がてんこ盛り。
あとあのエンディングとか犯人は誰だ? とかね。
そこらへんは、【考察】の方でまとめましたので気になる方はそちらをどうぞ。
考察
毒ガスルームの意味
中のパネルで正解を引くと、部屋が完全にロックされて鍵も使えなくなる仕組み。
そしてその後の「通気口」を使うという流れを考えると、あの「クロスワード~毒ガスルーム」の謎解きは無くていい。
一般的に考えれば、毒ガスルームに毒が充満して確実な死を迎えた後に、扉のロックが解除され「部屋に新たなヒント」が残されているものだろう。
しかし、本作では見殺しにしてハイ終わりなのです。
となると、本ギミックは人を殺すことが目的になっている。
本作の登場人物5人は、部屋の中に2人を入れるという選択をしたが1人を残して全員入るという選択肢もあるし、次の部屋に進むために毒ガスルームの中に入って全員で謎解きするケースも考えられる。
だから、このギミックはストーリー上(映画のストーリーにおける都合上)で、人を削減するというためだけに設けられたと考えられる。
熊のギミック
ここまで2人で来ていないと成立しないギミック。
あきらかにオカシイ。
ここまでが確実に2人生き残るためのギミックだったら分かるんだが、前述の毒ガスルームで1人を残して全員死んでいた可能性もあった。
あきらかにギミックが「映画のストーリーありき」になっている。
稚拙であると言わざるを得ない。
SAVE HIM/SAVE HER
自分の命を選んだタイラー。責められても相手を助けようとしたクリステン。
そして生き残ったのはクリステン。
まぁ、自己犠牲って話だよね。
悪くはないが、「モールス信号なの!」とか「クロスワードパズル」から一転して、二者択一。
結局のところ、エンディングは「クリステン1人のみを生かす」という顛末に向けて、タイラーを殺したかっただけという流れを成立させるための、まるで打ち切り化のようなギミックであると感じた。
映画という「作品」として、流れが考えられていないように感じてならない。
犯人は誰なの?
誰が演じているか? って話じゃなくて、犯人は本作の監督であるウィル・ワーニックさんなんじゃないか? というのが考察結果。
『#フォロー・ミー』でも分かるんだけど、若者というかチャラチャラしてるというか、ざっくり言うと「成功者」を嫌っているように感じるんだよね。
だから、ウィル・ワーニックさんの考える脚本の中では「成功者は破滅する・助からない運命」を辿らせたがっているように見える。
本作で言えば登場人物6人を「いかに卑しく描くか」に力が入っていて、スリラー映画としての軸がぶれている。
『SAW』や『CUBE』のような描写を期待していると、肩透かしを食らって低評価まっしぐらだろう。
上記のような「監督の考え(推測)」を踏まえると、本作は全員死亡もあり得ると思った。
しかし、そうはしなかった。
字幕では犯人のセリフに「現実から逃避できる夜=エスケープ」とルビがあるのよね。
『#フォロー・ミー』でも現実逃避という言葉が出てきた。
そこに加えて「君たちは考えが甘い。すべてお見通しなのさ。」というセリフを残す犯人。
これはもう「成功者へのやっかみ」にしか聞こえなくなってくる。
ここまで適当なストーリーラインに、前提ありきのギミックで「考えが甘いのはどっちだよ!!」って話です。
「本当に逃げられたのは? 君か? 彼らか?」という犯人のセリフも何それ? って感じよね。
死=現実から逃げ出す事 って考えを軸にしてるけど、そもそも登場人物6人はいがみ合いこそすれ「1300ドル(約17万円)の食事」にポンとクレジットカードを出すほどに全員が裕福。
単純に刺激を求めただけで、別に現実逃避したかったって流れは無いのに、「逃げられた」って何?
クリステン目線で考えると、服を脱がされ全裸で監禁された。
自分が誘った“ゲーム”で友人や恋人を失った。しかも、恋人には暴言の数々を投げかけられて……。
命からがら逃げだして警察に助けを求めたが、”犯人”は自分を監視していることを知る。
「様々なものを奪い、自分のせいでと罪を背負ったクリステン」にとって、この現実を「逃げずに生きること」は苦しいものじゃないか? って意味だろうけど、そんなん百も承知なんだよ。
この映画の締めにある決め台詞としては弱いし、何が言いたいのか考えたが良くわからないのが結論だわ。
このエンディングからは『#フォロー・ミー』でも感じた「成功者が調子乗ってんじゃねーよ!」という監督の重い想いを感じました。
英語メモ
USE CAUTION
道路の電子掲示板に書かれていた言葉。意味は「要注意」。
EXIT WAY OUT
エスケープ・ルームの扉上に書かれた言葉。意味は「出口」。
SAVE ME/SAVE HIM/SAVE HER
タイラーとクリステンにあたえられた選択肢。意味は「自分を助ける/彼を助ける/彼女を助ける」。
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本作のウィル・ワーニック監督作品について、記事にまとめてます。
本作と同じ作品名の「エスケープ・ルーム」について、記事にまとめています。
結び
エリザベス・ハワーさんはヌードになる必要があったのか?
という疑問だけが残る作品だった……。