2013年版の『キャリー』は吹替え版で潘親子の共演を楽しむ!

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作品情報:キャリー

基本情報

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題名キャリー
原題CARRIE
原作スティーヴン・キング
監督キンバリー・ピアース
脚本ロバート・アギーレ=サカサ
ローレンス・D・コーエン
製作ケヴィン・ミッシャー
製作総指揮J・マイルズ・デイル
音楽マルコ・ベルトラミ
撮影スティーヴ・イェドリン
編集リー・パーシー
ナンシー・リチャードソン
配給会社メトロ・ゴールドウィン・メイヤー
スクリーン ジェムズ
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
製作会社メトロ・ゴールドウィン・メイヤー
スクリーン ジェムズ
製作国アメリカ合衆国
公開日2013年11月08日
作品時間99分
出演者ジュリアン・ムーア
クロエ・グレース・モレッツ
ガブリエラ・ワイルド
ポーシャ・ダブルデイ
ゾエ・ベルキン
サマンサ・ワインスタイン
カリッサ・ストレイン
ケイティ・ストレイン
アンセル・エルゴート
デミトリアス・ジョイエット
ジュディ・グリア
バリー・シャバカ・ヘンリー
アーリーン・マゼロレ
エヴァン・ギルクリスト
エディ・マックス・フーバンド
アレックス・ラッセル
タイラー・ラシュトン
コナー・プライス
ジェファーソン・ブラウン
シンシア・プレストン
フィリップ・ノズカ
カイルマック
マックス・トップリン
モーナ・トラオレ
デレク・マクグラス
クリス・ブリトン
ハート・ボッチナー
カサンドラ・カッチョッポリ
アニー・チェン
アマンダ・ジェーン・クリスト
マシュー・デール
ナタリー・デール
ルーシー・デラート
ジェームズ・ファニッツァ
アレックス・ゴードン
シャウナ・グリーンスパン
トラヴィス・ヘドランド
ピーター・ヒューイット
サマンサ・ハッチンソン
シャネル・ラロック
ウィリアム・マクドナルド
エアリースマリー
ホリー・ミランダ
ミシェル・ノルデン
アーノルド・ピノック
アイリーン・プール
ナイキム・プロボ
アラナ・ランドール
キム・ロバーツ
アンバー・シャープ
ヴァネッサ・スマイス
クロエ・ヴァン・ランズシュート
サラ・バンス
スカイラー・ウェクスラー
ジョシュア・ウィリアム・ジェームス
ライアン・ウィルソン

あらすじ

いじめを受けている女子高生・キャリーが本作の主人公。

キャリーが生理を知らないことをキッカケに、いじめはエスカレートしていった。
一方で、キャリーは自分に隠された<能力>に目覚める。

プロム(高校卒業パーティ)を控えた学園を描いたホラーストーリー。

感想と考察:キャリー

感想

主人公・キャリーが産まれるシーンから本作は始まる。
かなり長い尺をとっているのが印象的であり、この時点で<キャリー>に何かあるのを見事に演出されています。ただ、このシーンだけでは「母親が狂っているのか?」「子供(キャリー)が狂っているのか?」は分からないのです――。

タイトルロゴや全編を通して、「血」や「液体」を強調したシーンが多いですね。

キャリーは、頭にボールぶつけて謝らない(しかも、ヘラヘラしてる)し、高校生にもなって生理を知らない、そしてパニックを起こすという事で<不思議な子>という印象ですね。

「生理を知らない→親に詰め寄る」という点から、ホームスクーリング(家庭学習)を採用していたのでしょう。一方で、6年生の時からキャリーをいじめていた発言があるため、何らかの形でキャリーとクリスは出会っていのでしょうかね?

作中から、キャリーの母親が「熱狂的なキリシタン」であることと、キャリー自身が<超能力>を持っていることが描かれていますね。
どちらか一方がおかしいのではなく、親子どちらも<オカシイ>ことに注目して視聴を続けました。

豚の血を使うというとは珍妙な……。
キリスト教と「豚の血」というのは何か関係があるのかな?
生理の血でパニックを起こす。という点から<血>を利用したという以外にも、何か理由がありそうなんだけど、宗教周りの知識が無いのであきらめます――。

序盤のいじめのシーンからスー・スネルだけは、乗り気ではなかったことが分かります。しかし、いじめの首謀者・クリスを止める勇気はなく、罪悪感にかられる部分が描かれています。
スー・スネルの頼みを聞くという形でアプローチする、トミーが本作で一番良いキャラクターかもしれない。
ぶっきらぼうというか荒い性格なのかと思いきや、中盤から性格が変わったんじゃないか? というくらいに良キャラに変化する。(彼女の力って偉大!)
そこに加えて、吹替えを担当された細谷さんの優しい声がキャラクター性を後押ししているのが素敵。
手を差し伸べられたキャリーにとっては、一生の思い出になるよ。
と、ここまでが本作品の下準備

そして、整えられた人間ドラマを一気に破壊していく、原作者・スティーヴン・キングの性格の悪さ!(←良い意味!)
指を絡ませ、これ以上ないくらいに「幸せ」を嚙み締めた後での<アレ>よ。
「そこまでやるかね?」というくらい突き付けてくるから、スティーヴン・キング作品はメンタルが落ちてる時に観るのは危険なのよね。
※『ミスト』とかが良い例よね。

終盤のキャリー暴走シーンでは、しっかりと理性が戻ってくる変化がなんとも切ない――。
「いじめの首謀者」「いじめの傍観者」を対象に暴れているから、今まで支えてくれた「コリンズ先生」は助けたのよね。
もしかしたら、コリンズ先生という存在によって「暴走→理性」に変わったのかもしれないです。これは、序盤でパニックを起こしたキャリーを正気に戻すという演出と対になっているのでしょう。

理性を取り戻したことによって、プロム会場をあとにして「首謀者」にロックオン!
その結果は言わずもがな……。

振り返ってみると、約10分程度の暴れるシーンにおいて「キャリーは一度も声を出さない」のです。
その後の第一声が「ママ!」であることも切ない……。精神的にはまだまだ子供で、狂信的なキリシタンであっても、母親という存在を支えにしているキャリー。
しかし、ここから更に突き落とすスティーヴン・キングの奥深さよ!

<殺されても殺しても結果は悲しい>…それを踏まえた上で展開される終盤は心苦しい。

スー・スネルのお腹の中には女の子の赤ちゃんが――。
それを考慮して優しい着地をするキャリーですが、これだけの伏線設定だとは思えないんですよね。もしかしたら、原作小説などではこの辺りを含めたエンディングの流れが少し違うかもしれませんね。

スティーヴン・キング作品における“恐怖(ホラー)”は、色々と考えさせれるなぁ。

ホラーの演出をラストの方まで引っ張って、それまでは人間ドラマをスイッチしながら描写していく。
洋画ホラーは、<比較的序盤からワーキャー言わせる>というのがお決まりとも言えることを考えると、本作はそういう点では異質であり、反して「やっぱり、スティーヴン・キング原作」だなぁと感じますね!

ただし、人間ドラマだけで行くと単調になってしまいそうなところを、ジャンプスケアや場面転換、音楽で飽きさせない・油断させないのは監督(演出)さんの手腕だよねぇ。
テレキネシス(超能力)を利用しているときの効果音が好きなんだよなぁ。

キャリーは吹替えで楽しもう!

ストーリー外の話をすると、やっぱり「吹替え版の声優陣」の仕組まれたキャスティングと豪華さ!

まずはリメイク元の1976年版『キャリー』に注目しましょう。
この1976年版の主人公・キャリー・ホワイトの吹替えを演じたのが潘恵子さんです。
そして、2013年版の本作で潘恵子さんは「キャリーの母親」を演じているのです。

時の流れを感じる粋な演出をしてくれるものです。
この作品の一端である“力が紡がれていく感じ”がなんとも良いねぇ。

次に注目するのは「潘恵子さんと潘めぐみさんの親子共演作品」であること。
しかも、作中で演じているのが「親子設定そのまま」という仕組まれたキャスティング!!
キャリーの母親は潘恵子さん。キャリーは潘めぐみさん。いいねぇ。

ちなみに親子初共演は、2011年版のアニメ『HUNTER×HUNTER』だったかな?
こちらも「親子設定そのまま(厳密には違う)」で、主人公・ゴン=フリークスを潘めぐみさんが、ゴンの母親代わりであるミトさんを潘恵子さんが演じていますね。

そして、本作が実に10年前の作品ということ。
2023年の現在も第一線で活躍する声優さん達が多く出演されています。

女性で言えば、田村睦心さんに早見沙織さん。男性で言えば、細谷佳正さんに安元洋貴さん。などなど、挙げていないだけで他にも有名声優さんが多数キャスティングされているのです。

「洋画は字幕しか認めない!」みたいな人もいますが、たまには吹替えもどうでしょうか?

考察

「まぐわい」が罪なら、なぜキャリーを妊娠・出産したのか?

作中の話では、キャリーの父と母は、もともとそういう関係性では無かった。
キャリーの父とは、共に祈りを捧げる関係性であったが、ある夜、そういう関係性になってしまった。その時の快楽には逆らうことが出来なかったことで子供を妊娠した。

出産した後、キャリーの母は「神様に“子”を捧げる」ようとしたが、我が子可愛さに捧げる(殺す)ことができなかった。
そして、出産して神に「キャリーを捧げる」葛藤が本作の序盤のシーンであった。

キャリーは“悪魔”なのか?

悪魔ではない。
キャリーの祖母が超能力者であり、その能力を受け継いだ(普通になりたい)子である。

キャリーの母が「悪魔の子」「父親の残した腫瘍」というような旨の発言をするのは、前述した「まぐわいの罪」を受けた子であると考えられます。

シスター(修道女)は、その生涯を未婚・処女として生きます。キャリーの母は、その戒律を破ってしまったことで、「キャリーを悪魔の子」と呼ぶのではないでしょうか?

ラストシーンでキャリーは死んだのか?

そもそも、キャリーの遺体がお墓に埋められているか分からないため生死不明。

遺体から息を吹き返している可能性もありますし、現象だけが存在している可能性もあります。また、スー・スネルの子供に転生、あるいは、超能力を引き継ぐなどの可能性もありますね。

個人的には、スー・スネルの子供に転生するという線が良いんだよね。
スー・スネルまでも絶望に叩き落すとか、キャリーの復讐再開とか色々繋がる展開を期待しちゃうんだよねぇ。

お墓に落書きされても何も無かったのに、スー・スネルが花を置いた時に「ヒビが入る」という演出。これはスーと共鳴したか、あるいは、スーの中にいたキャリーがお墓の落書きを見て苛立ちを露わにしたと考えると腑に落ちます。ラストシーンで、スーは「キャリーのお墓をきょろきょろして探している」ため、お墓に行ったのは初めてだという演出が入っていますからね。

でも、「ヒビは地面から入ったよ?」と思うかもしれませんが、スーの足を通じて、下方向から力を加えたと考えると合点がいきます。作中では、足を踏み出すことで地割れを起こしていたのがポイントです。また、モノを浮遊・移動させる能力は非接触型で発動するため、木の葉が舞う点については位置は関係ない者と考えられます。

英語メモ

Holy bible

冒頭のシーンで登場する本の背表紙に書かれた言葉。意味は「聖書」。

YOUR GIRL LOOKS GOOD. SHE WON’T FOR LONG.

クリスがスーに送ったメールの内容。意味は「きれいなキャリーは今のうちだけ」。
直訳では、「あなたの女の子は良く見える。彼女は長くは続かない」。

Daddy, come get me.

クリスが父親に送ろうとしたメールの内容。意味は「パパ助けて」。
「come get me」の意味は「迎えに来て」。

Carrie White BURNS IN HELL

お墓に書かれた言葉。意味は「キャリー・ホワイト 地獄で焼かれろ」。

キャリーが作中で読んでいた書籍

キャリーが開始30分ごろの図書室で読んでいた書籍を、メモとして残しておきます。
各リンクはAmazon.co.jpになっていますので、踏みたくない方はご注意ください。
(見つけられなかった2つも実在するのかな?)

Probability of the Impossible: Scientific Discoveries and Explorations in the Psychic World

・MIRACLES: AN ENCYCLOPEDIA

・TELEKINESIS ANALYSIS AND AFTERMATH

What’s Happening to My Body? Book for Girls: Revised Edition

The Black Arts: A Concise History of Witchcraft, Demonology, Astrology, and Other Mystical Practices Throughout the Ages

Fringe-ology: How I Tried to Explain Away the Unexplainable-And Couldn’t

結び

主人公・キャリーの“おびえたような顔”をどこかで見たな~。
何だったかなぁ~と思ったら、『ムービー43』というコメディ映画でした。
(あの時も血がテーマだったような……。)

クロエ・グレース・モレッツさん。
ハリウッド女優さんでは珍しい童顔で可愛いね。うん。

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