作品情報:人狼ゲーム クレイジーフォックス
基本情報
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題名 | 人狼ゲーム クレイジーフォックス |
原題 | – |
原作 | 川上亮『人狼ゲーム CRAZY LIKE A FOX』 |
監督 | 綾部真弥 |
脚本 | 川上亮 綾部真弥 |
製作総指揮 | 吉田尚剛 |
音楽 | 沢田ヒロユキ |
主題歌 | 中村慈/arcana |
撮影 | 伊藤麻樹 |
編集 | 岩切裕一 |
配給会社 | AMGエンタテインメント |
製作会社 | メディアンド アミューズメントメディア総合学院 |
製作国 | 日本 |
公開日 | 2015年12月05日 |
作品時間 | 97分 |
出演者 | 高月彩良 冨手麻妙 柾木玲弥 斎藤嘉樹 萩原みのり 冨田佳輔 長村航希 村上穂乃佳 水石亜飛夢 奥村秀人 山根綺 藤井武美 |
あらすじ
高校生男女12人。
建物内で命を懸けた人狼ゲームをすることになった。
12人の中に人狼は3人。
村人陣営には、預言者、用心棒、霊媒師の役割を持つ者がいる。
そんな中、主人公に割り当てられたカードは「狐」であった……。
感想と考察:人狼ゲーム クレイジーフォックス
感想
ちょっと! 前作・前々作と違って面白いじゃない! というのが感想。
ちゃんと映画として楽しめた!!
前作の記事と対比する形で感想をまとめていきます。
前作の記事は以下のリンクからどうぞ。
まずはキャスティングについて触れておきましょうか。
知ってる人が少ない。
他作品で見たことはあっても名前を憶えている人が少ないなぁ~という状況。
しいて言えば、主人公・アカネを演じる高月彩良さんがドラマ『重版出来!』に出演されていたな~という程度。
次に音楽(BGM)ね。
どしたの!? というくらいにバリエーション豊富なBGM。
ただね、注目して欲しいのはそこだけじゃなくて、議論の場で時計の音がなっていたり、主人公にフォーカスがあたる部分ではヒステリックを起こしている人の声を小さくしたりという配慮があるのよ。素敵だね。
次に映像のこと。
これまでのような違和感はない。
むしろ、ピントを使った演出もあるし、なんで階段で議論すんの! とか思う所はあるけれど、それはそれで「狐が人狼を見下す構図」になっていたり、考えられてるんじゃね? と思う余地があって面白かったですね。
ストーリーについて。
設定で言えば、今回は「人狼同士が誰か分からない」状態になりました。
また、ルールが明確化しており、「他人のカードを見ても、カードを見せてもNG」となりました。
その他にも、細かいルール(というか拡大解釈するとゲームのルール以外での勝利が困難となるルール)が存在するのです。
更には「村人による人狼の投票後の処刑」が自動になったことも、私としては好ポイントです!
これまではパニック&パニックで議論にならなかったのに、本作ではしっかり議論してる。
「あまりに自然にゲームに参加する」という訳でもなく、しっかり「今の状況自体を疑う人間」もいて、こういう点こそ“エンターテイメント作品におけるリアリティ”と言えるでしょう。
※BGMを付けないことやブレだらけの映像、パニック&パニックは、決してリアリティではない!!
主人公は「狐(人狼・村人に続く第三勢力)」であり、自分が生き残る場合は他者全員が死ぬことになる。
これを大前提としたストーリーであり、どう展開するのかな? と思ったら……。
「W(Wolf:人狼ターン)」「F(Fox:狐ターン)」という二部構成になっており、人狼サイドは主人公のあずかり知らぬ前提でストーリーが描かれます。
人狼サイドも描かれたら面白味が無いんじゃないか? と思う人もいるんだろうけど、ところがどっこい!
今回、人狼は3人。その内の1人の正体が分からないままストーリーが進みます。
これが誰なのか?
これが本作の注目ポイントと言っても過言ではないでしょう。
投票の主導権を握っていた人、場を騒がせていた人が1夜目で処刑された。
そして、投票の主導権を人狼が握ろうと暗躍する一方で、その上を行く狐・アヤカ。
やるねぇ!
ただ、それだけじゃないのが本作。
第三勢力・狐の存在によって、「人狼が名乗り出た後」にもストーリーが展開される。
人狼または村人の勝利が確定したタイミングで、狐が生き残っていた場合には「狐の勝利となり他陣営は死亡」となることから、人狼と村人が協力して「狐を処刑する必要」があるためですね。
さて、どうすんの? と迎えた最終投票。
人狼(女)が粗野で乱暴な感じで嫌いだわ~と思ってたけど、
そのキャラクターというかさ「性格」を貫いた上でのあのエンディング。
悪くないね~。嫌いじゃないね~。
全編をとおして監視カメラの存在を示しており、黒幕を明かさないにしても映画の中でエンディングでも、しっかり触れていることも良かったです。
あ~、面白かったと思ったら、スタッフロールで「役名」「俳優・女優」に加えて「役職(引いたカード)」まで書いてある!!!
何だこの配慮!
過去2作と全然ちげぇじゃねえか!
とビックリしながらも、本作は十分に楽しめました!
考察
過去2作と比べて面白いと感じた理由
前作までと「スタッフ陣」の一部が変わっているんですよね。
これが理由だと考えます。
一部というか変わっている方が大きくて、製作総指揮を担当されている吉田尚剛さんと原作&脚本を担当されている川上亮さんを除いて総入れ替えみたいになっているのかな?
映画として一番大きいのはやはり監督という存在。
映画の成功・失敗は監督にかかっていると言っても過言ではないですし、そもそも「その成否を背負う人」も監督ですからね。
さて、前作までは熊坂出さんが監督をされていましたが、本作では綾部真弥さんが監督をされています。
ただ、前作までの監督を否定するつもりではないです。
予算面での問題や、予算があっても配分の問題などもあるでしょう。
私には合わなかっただけで、これまでの映画が他の人にはうけているのかもしれない。
その結果、興行収入で予算が上がったのかもしれない。
いろいろなシガラミはあると思うのですが、それでもスタッフの変化が映画の変化になったと捉えざるを得ないのよね。
ちょっとしたポイント
1.監督をつとめた綾部真弥さん。本作が初監督作品。
2.主人公・アヤカを演じた高月彩良さんは、本作が初主演作品。
3.前作までの監督を担当された熊坂出さん。実は凄い人。
ベルリン国際映画祭で日本人で初めて最優秀新人作品賞を受賞しており、その他の賞でも日本人初グランプリを獲得している経歴を持つ方だそうです。
結び
前作、前々作で、シリーズ観るのを止めてしまった人もいるのではないでしょうか。
そんな人は、本作を観てほしいな。