『ファイナル・デッドサーキット 3D』は考察でもっと面白くなる

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作品情報:ファイナル・デッドサーキット 3D

基本情報

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題名ファイナル・デッドサーキット 3D
原題The Final Destination
原作
監督デヴィッド・R・エリス
脚本エリック・ブレス
製作クレイグ・ペリー
ウォーレン・ザイド
製作総指揮リチャード・ブレナー
ウォルター・ハマダ
シーラ・ハナハン・テイラー
音楽ブライアン・タイラー
主題歌
撮影グレン・マクファーソン
編集マーク・スティーヴンス
配給会社ニュー・ライン・シネマ
ギャガ
製作会社ニュー・ライン・シネマ
プラクティカル・ピクチャーズ
ザイド/ペリー・プロダクションズ
製作国アメリカ合衆国
公開日2009年10月17日
作品時間84分
出演者ボビー・カンポ
シャンテル・ヴァンサンテン
ニック・ザーノ
ヘイリー・ウェブ
ミケルティ・ウィリアムソン
クリスタ・アレン
アンドリュー・フィセラ
ジャスティン・ウェルボーン
ステファニー・オノレ
ララ・グライス
ジャクソン・ウォーカー
フィル・オースティン
ウィリアム・アギヤール
ブレンダン・アギヤール
ハロルド・X・エバンス

あらすじ

前作から数年後。
今回の舞台はサーキット場。
主人公のニックは大事故を予知する。

今回の生存者は10人。
果たして死の運命から逃れることができるのか――。

感想と考察:ファイナル・デッドサーキット 3D

感想

今作は初回の事故シーンが長く、ド派手に作られていますね。
シリーズ初の3D作品。オープニングも含めて、こだわって作っているのでしょう。
オープニングでは、前作までの死亡シーンをこれみよがしに使ってくるあたり、本作では“どのような運命”を迎えることになるか楽しみになりますね。

これまでに比べて、ゴア表現が強いです。
ゴア表現が強くなると、どうしても安っぽくなりシリアスさが欠けてしまうのが難点ですね……。

1作目の事故を調べ、死の運命や回避に向けてストーリーが動き出すまではこれまでどおりの展開です。

最初の事故が起きたはハイウェイの名前が3作目の登場人物にかけた「マッキンレー・スピードウェイ」だったり、死の予兆に入る前に1作目の登場人物にかけた「クレア・リバースの水」がでてきます。
また、ラストのキャラメルソース入りの巨大チョコチーノを飲むシーンでも「DRINK RESPONSIBLY! がプリントされたトラックのロゴマーク」が張られていました。
(気づいていないだけで他にもたくさん隠れているのでしょう。)

本作は映像演出がコメディに振りすぎてる感じがします。
一方で、音楽がシリアスさを演出しているため、不思議な感覚になります。
(これ笑っていいのかな? みたいな――。)

本作で初めて、“生の予兆”みたいなものが出てきますね。
英語メモにも書きましたが、ジョージ宅へ向かう前の新聞に飲み物をこぼした時に浮かび上がる文字のことあり、最終的には死の筋書きを正すためのメッセージだったことが分かります。

主人公のニックが感じる死の予知はあからさまな死因に関するイメージを感じるもので、これまでのシリーズの予知とは一線を画する表現となっていました。一方でヒロインのローリが感じる「違和感」はシリーズでおなじみの表現となっています。

前作での地下鉄事故のように、今作ラストでは映画館での事故を予知します。
「全員まとめてやってやるぜ!」という死の運命に対して、主人公の決死の行動でローリやジャネット、観客たちは救われます。
しかし、それさえも死の筋書きであると“死の運命”が上を行くのは、予想通りのオチとなります。

今作では予兆内の文字や前作と繋がりを持たせた看板、あえて強調演出しない180の数字など、「視聴者自身が見逃すなよ!」と伝えるように面白さを散りばめた作品のように感じました。

主に死の予兆という重要シーンで3Dを意識しているのは分かりますが、2Dでも違和感なく楽しめました。

考察

主人公たちの座席近くの柱にある「180」

今作でも、しっかりと「180」という数字を出してきました。
しかし、カメラが寄ることはなく何気ないシーンで何度か表示される演出でした。
また、ラストの2週間後と表示される部分のバスにも「180」がプリントされています。
(シアター13 という数字にも意味を持たせていそうな気がしました。)

ジョージの自殺が失敗した理由

排ガスも薬も使えず、首つりも失敗に終わる。
順番として、ジョージが死ぬタイミングとしては問題なかったように見えましたが、実際にはカーボーイハットの男の順番であったため、“死の運命”が自殺を阻止したのでしょう。
これは第2作の『デッドコースター』にて、ユジーンの銃弾が不発に終わるシーンでも描かれていましたね。

映画館で死ぬ運命だった人たちはどうなるのか?

これまでの流れから言えば、リストに組み込まれたため死ぬことになります。
(第2作目のラストと同じ理由で死ぬことになる。)

しかし、映画館での出来事は「サーキット場で死ぬ運命だったローリ(+ジャネット)の死の予兆(デジャブ)」であり、その他の観客たちが実際に死ぬことが確定していたわけではないとも考えられます。

予兆を見たニックが未然に事故を防ぐことさえも“死の運命”による筋書きどおりと考えると、「映画館に居た人たちは死ぬ運命ではない」と言えます。

あくまで、映画館での出来事は「ニックが腕を怪我した後、店に3人で訪れるという“It’s Here(=収束)”までの布石」と考えると、映画館の人たちは無事だったと言えるでしょう。

(映画館で放映されていた当時、映画館に足を運んだ“観客自身”が死のリストに組み込まれたんだよ? 他人事じゃないんだぜ? という表現と受け取った方が面白いのかもしれません。)

最後にホームレス(物乞い)が登場した理由

今作では、トニー・トッド氏演じる謎の男が出演されませんでした。
その「謎の男」に位置づけられるキャラクターかとも思いました。

「哀れな芸術家にお恵みを」と言う一方で、ラストシーンではコーヒーを片手に店を出る。
さらにそのような状況下で、常に犬を連れているのも違和感を感じます。

と深読みしましたが、
このホームレスの登場後にプールのポスターや映画のパンフレット、レース映像など「これまでの死の予兆」が店に集まっていることを感じ取ります。
そのため、ホームレスの登場は「ジャネットの死の予兆」が店に集まっていることを指すのでしょう。

最後に机に刻まれた文字は?

下部分が隠されていますが「IT’S HERE」です。

これはニックが見た予兆に隠されています。
1回目の予兆:火の中
2回目の予兆:ヘアアイロン
3回目の予兆:煙(ガス)の中
4回目の予兆:排水管の中
5回目の予兆:水が流れるタイル
6回目の予兆:火が走っている横の床

HEREの2文字目のEが小さかったりRが少し右に寄っているなど細かい部分まで「机に刻まれた文字」と一致します。
このことから、最初の予兆からあの最後まで筋書き通りだったと受け取ることができます。
これがニックの最後のセリフにつながるのですね。

英語メモ

it’s coming

オープニング後の机に刻まれた言葉。字幕の通り、意味は「やがて訪れる」。
直訳では「来るぞ」。

It’s Here.

予兆の各所にちりばめられ、ラストシーンで「it’s coming」が消され代わりに書かれた言葉。意味は「ここにある」。
筋書きは最初から決まったとおり遂行されて、ラストシーンでは、“死の運命”は、まさに「ここにあった」のでしょう。

Through action they were saved.

ジョージ宅へ向かう前の新聞に飲み物をこぼした時に浮かび上がる文字で、字幕上は「行動… 彼ら… 生還…」と表示されていました。

直訳すると「行動によって彼らは救われた。」となり、これまでの死の予兆と異なり“生の予兆”とも言える言葉となります。
(この文字をきっかけにジョージの死の筋書きが元に戻されますね。)

結び

細かい部分で見逃せないことが多い作品でした。
それでも見逃している部分も多いんだろうな……。
これまでとのつながりなどを見落としていると思うと悔しいなぁ。

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