作品情報:身近にある毒植物たち “知らなかった”ではすまされない雑草、野菜、草花の恐るべき仕組み
基本情報
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書籍名 | 身近にある毒植物たち “知らなかった”ではすまされない雑草、野菜、草花の恐るべき仕組み |
著者 | 森昭彦 |
原作 | – |
原作者 | – |
キャラデザ | – |
ページ数 | 195ページ |
発売日 | 2016年06月15日 |
出版社 | SBクリエイティブ株式会社 |
レーベル | サイエンス・アイ新書 |
ASIN | B01GT6L1C4 |
ISBN | 978-4797353457 |
状態 | 完結 |
巻数 | 全1巻 |
あらすじ
サイエンス・ジャーナリストであり、ガーデナー、自然写真家でもある森昭彦さんが書いた書籍。
毒草の見分け方をはじめ、日ごろ食べている“野菜”などの植物が持つ毒について説明された図鑑のような本である。
感想:身近にある毒植物たち “知らなかった”ではすまされない雑草、野菜、草花の恐るべき仕組み
感想
本書との出会いは、何年も前のこと。
「数mg~数gで人を殺めることが出来る<毒>ってすごくない?」というのがキッカケだったかな――。
「毒」というものに興味をもって、齋藤勝裕さんの『毒の科学』という本と併せて購入しました。一時的に「毒」に対する興味が最高潮になった時は、「毒物劇物取扱責任者」の試験を受けるまで行きました。(結果は不合格……。その後、興味も冷めてしまいました。)
さてさて、書籍の話に戻りましょう。
本書はフルカラーで、文章部分も文字色を変えることで強調されており読みやすいです。
見開き2ページのうち、左側は文章/右側は写真のような構成となっているのですが、この文章も小気味よい笑いを誘うような文章になっています。毒の成分などの横文字はさすがにお手上げですが、過去の事例や正しい食し方を記した部分は文章としておもしろいです。
「毒」というのは、薬にもなりうるというのは良く聞く話です。
また、「じゃがいもの芽」には毒があるというのは小学校の家庭科でも習いますし、ドラマなどでも有名になった「トリカブト」に毒があることを知らない人は居ないのではないでしょうか?
しかし、本書はその知識を軽く上回ってきます。はい。
試し読みでも分かる範囲で言えば、「ズッキーニ」に毒があるなんて知らないのよ。
しかも、それが「未熟果=無毒」「熟果=有毒」というタチの悪さって……ね。気になった方は本書をぜひ読んでみてほしい。他にも普段食べる・目にする・聞いたことある<植物の怖さ>を知ることが出来る。
本書は読み物として面白いけれど、小説のように最初から最後まで順番に読むのはシンドイという人もいると思う。そういうときは、セール時を狙って図鑑として持っておくのも良いかもしれません。
多くの人は自分には関係ないと考えると思います。
野草なんて自分で取って食べないし、お店に売ってるもの・提供されるものだから大丈夫! ってね。
しかし、前述のズッキーニは「飲食店で提供されたものを食べて食中毒」を引き起こしているのです。
“苦みの強いズッキーニは有毒の可能性がある”という前提知識があれば避けられたかもしれない……。私だったら、違和感持っても結局食べちゃうなぁ。(←おい!)
ニラ(無毒)と水仙(有毒)を間違えるなんて話は、昔からずーっとありますね。
「道の駅」をはじめ誤って販売したという話は何度も発生していることですし、2022年04月には京都府の子育て支援施設で誤って給食に利用したというニュースが、最近の大きな出来事ではないでしょうか。
他人事じゃないんですよ!
肉には発がん性があるから菜食主義になるというのは大いに結構。
自分の好きに生きればいいと思うけれど、「自然は安全」は間違いであることは覚えておきたいところです。
“がん”と比べれば、毒の余命宣告はあまりに短いのですから……。
本書で考える自殺・他殺
一般人が毒に興味を持つ=死にたい/殺したい という短絡的な発想の方がいるんですよね……。
じゃあ、いっそ真剣にこの話題に向き合ってみましょう。
本書をはじめ「毒に関する一般書籍」の知識があれば、「自殺」も「他殺」も出来るでしょう。とりわけ、本書に記されたような「自生する/一般購入できる植物」ともなれば、入手することもハードルは高くないです。
じゃあ、このような書籍を求める人が「自殺」「他殺」を目的としているのか? って話ですよ。
自殺するなら、首吊る方が確実で痛みも少ないでしょ。
法治国家・日本で執行される唯一の死刑方法が「絞首刑(首吊り)」なんだから……。ちょうど、本書を購入するくらいの値段で一式揃うと思うのよ。
それに、自殺って追い詰められてるからするもんでしょ? 思考回路も滅茶苦茶になってて、辛くて死にたいから電車の前に飛び込むわけですよ。(私の体験談から言えば、死にたいって思考回路になるんじゃないの。1歩足を踏み出せば“この状況から解放される”って、無意識というかスーッと電車に吸い込まれそうになるのよ……。)
じゃあ、自殺/事故に見せかけた他殺を目的に購入するのか?
そりゃあ無いとは言い切れないけれど、<植物を食べさせる>ってかなりハードルが高いと思うの。
食事を提供できる間柄ならば「塩」「油」「糖」を使った方が(事故死に見せかけるという意味合いで)安全なんだよね。
死人に口無しって言うし、生前は濃い味のものが好きで……って言っておけば、ほぼ確実に寿命を削れる悪魔の食べ物だもの――。
逆に言えば、食材をお裾分けする程度の間柄だったとして、相手方に「毒草に関する知識」があった場合、一気に安全が崩れるよね?
それこそ、「意図して」「致死性の高いもの」だったと証明されたら殺人未遂になるんじゃないかな? 相手も死なないし、自分は罪に問われるし意味ないでしょ?
日本で発生する1,000件近い殺人事件の内、いったいどの程度が「綿密な計画」を立てたものか? なんて、知る由もないけれど、「毒に興味を持つ=殺してみよう!」という感覚にはならないでしょ。
発言というか思考が短絡的で浅慮な人と会話するの、ほんと嫌いなのよね。
ミステリー作品好きに対して、「警察や探偵に解決できないような難事件を引き起こしたいの?」とか、FPSのゲームプレイヤーに対して、「ナイフ片手に街を闊歩して、人を殺めて所持品を奪うの?」という発言くらい短絡的な思考って気づいてほしい。そうなったら、日本の年間自殺者数(20,000人超)は目立たない数字になるね!
何が言いたいかと言うと、「ジャンルとか関係なく人が好きで読んでる本に“口出し”するなよ!」ってこと。
結び
本書はAmazonの試し読みでは、30ページ以上も読めるので気になった人はチラ見してみると良いでしょう。
コミックなどと比べると、少しお値段が張りますからね。