作品情報:フロッグ
基本情報
基本情報を表示する
題名 | フロッグ |
原題 | I SEE YOU |
原作 | – |
監督 | アダム・ランドール |
脚本 | デヴォン・グレイ |
製作 | マット・ウォルデック |
製作総指揮 | ジェームズ・アサートン ジョーダン・バイヤー エリック・フィッシャー デヴィッド・ジェンドロン マーク・アンドリュー・ハマー ベン・ヘクト フィル・ハント マット・ライプツィヒ デイブ・マクリーン ヤン・ペース コンプトン・ロス ロバート・ロジェリ クリス・サブラン ビル・シュルツ ヴィヴィアナ・サラゴイティア |
音楽 | ウィリアム・アルケイン |
主題歌 | – |
撮影 | フィリップ・ブラウバッハ |
編集 | ジェフ・カステルッチョ |
配給会社 | クロックワークス |
製作会社 | ゾディアック・フィーチャーズ |
製作国 | アメリカ合衆国 |
公開日 | 2021年03月19日 |
作品時間 | 97分 |
出演者 | ヘレン・ハント ジョン・テニー オーウェン・ティーグ ジュダ・ルイス ライブバー グレゴリー・アラン・ウィリアムズ エリカ・アレクサンダー アリソン・ガブリエル アダム・カーン ライリー・カヤ ニコール・フォレスター ジョン・ニューバーグ テリー・クラーク ジェレミー・グラデン ワイアット・マクルーア ブルックス ローズベリー シェリー・マクレーン A.J.ランサム ブライアン・ボウマン リック・ドレマン ジョー・フィッシェル バート・グリアッタJr. ジェニファー・グレイス ジョシュ・ハイルマン ダニエル・ラモント ダニエル・ミールズ ジョステイン・サグネス マーク・サラス サム・トラメル トーマス・W・ウルフ |
あらすじ
10歳の少年が誘拐された。
残された証拠から十年以上前の解決済み誘拐事件と関係性が疑われる状況だった。
本事件を担当する刑事・グレッグは息子・コナー、妻・ジャッキーと3人で暮らしている。
ジャッキーは不倫しており、家庭内に問題を抱えるなかグレッグの家では「怪奇現象」が起こり始めた。
感想と考察:フロッグ
感想
キャッチコピーが「開始45分、その恐怖は快感に変わる。」というアメリカ映画。
本記事のタイトルに書いたけど、45分経っても快感は得られないと思うよ。
本記事では開始45分を「前半」として表現しており、主人公を「コナー(怪奇現象が起こる家に住む少年)」として記事を執筆しています。
本作の前半は「過去の誘拐事件」「今の誘拐事件」「主人公宅の怪奇現象」が描かれます。
さて、ミステリー×ホラーというジャンルをベースに考えながら観ていくと……。
最初は両親の間で会話が無いから、父親が死んでるいわゆる『シックスセンス』みたいなものかと思ったんだけれど、その後スマホで会話してるから却下。
2名以上の会話成立がポイントよね。
まぁ、スマホ投げ捨てて修理呼んでる時点で存在感あり過ぎだわな。
自宅に発生する怪奇現象は霊的な存在かと思ったけれど、これも却下。
例えば、ガラス修理に来た人のようにポッと出てきたキャラクターは、霊的存在によってやられる……というのは良くある展開。
しかし、前半にて「誘拐」以外で死者は出てこない。
ホラー映画としては異質とも言える流れ。
更にはポルターガイストのような「物へ干渉する」だけじゃなく、主人公以外には姿を見せていることから実態がある(というより人である)可能性が極めて高い。
だからこそ、霊的存在(悪霊や悪魔、誘拐されて殺された子供)ではないことに確証を得ました。
では、この2点を踏まえて前半の終わりの方を見ると、なんとなく想像がついてきます。
「過去の誘拐」と「今の誘拐」は同一犯だろう。
思想を継いでいるという可能性もあるが、登場人物の少なさと本作で描きたいことが原題「I SEE YOU」であることから、犯人が違うのはポイントがズレる。
では過去の誘拐犯は誰だろうか?
主人公・コナーは幼すぎるし前半ラストで襲われた時点でこれを否定。主人公の母・ジャッキーは浮気相手の死に対する同様からこれらは除外。
だとすると、残っているのは前半でスマホ投げ捨てるなど、過激な一面を見せており刑事という立場で情報を取得・操作出来る主人公の父・グレッグが濃厚。
上記の仮定を踏まえて、「誘拐犯」と「主人公宅の怪奇現象」にはつながりを考える。
こうなると道筋があまりブレない。
怪奇現象を起こしたのは「過去の誘拐の犠牲者(逃げ出した子の内、トミーじゃない方)」だろう。
霊的存在の可能性が残っていると、ここで過去に殺された子供たちという思考が生まれて面白いんだけど、上に書いたとおりそれは否定されている。
過去の誘拐の復讐にやってきた――そう考えるのが自然。
ここまでが、私の前半45分間で考えた内容。
さて、後半――。
いきなり登場する2人のフロッガー。(←言葉正しいかな?)
で、すぐに明かされる2人の関係性から、上の推測が大きくは外れていなかったことで少しがっかり。
驚きポイントは、不倫相手を殺害したのは実は……という点。
それ以外は、概ね自分の推測した通りで快感なんて微塵も無い。
ラストで「緑のナイフ」で実は……って仰々しい演出してきたけど、もうね前半で分かってたのよ――。
一貫してジャンプスケアを使わずに恐怖を表現するという点は、かなり評価できる。
だからこそ、本作のポイントって「ストーリーの面白さ」だと思う。
仮に「開始45分、その恐怖は快感に変わる。」ってキャッチコピーが無ければ、面白く観ることが出来たかもしれない。
でも、『SAW』や『シックスセンス』などの数々の“どんでん返し”作品に触れてきているし、映画を見るときは「きっちり考察しながら観たい」と思う人なので、先が読めてしまうストーリーでは快感は得られないです。
初めて『SAW』を観たときのどんでん返しのインパクトや、『ファイナル・デスティネーション』の衝撃のラスト数秒なんてものに比べると弱い。
正しくは、「キャッチコピーに対して、ストーリーが弱い」です。
だから、キャッチコピーが残念。映画自体は悪くない。というのが私の感想かな。
そもそも、このキャッチコピーは「何に快感を得る?」ということなんだろう。
読み切れるストーリーでは快感は感じないし、そもそも恐怖の演出自体が弱めに設定されている。
だから、恐怖が変わると言われても……。
「恐怖は日常に隠れている。」のようなキャッチコピーの方が良かったなぁ。
決して自分にセンスがあるとは思っていないけれど、煽り過ぎは良くないよ! という話です。
前半は「怪奇現象」という霊的な恐怖であり、後半は「フロッギング」という犯罪に対する恐怖、そしてラストは「警察が誘拐犯」という狂気を表現した恐怖。
ストーリーの中で変遷する恐怖は、常に日常と隣り合わせってことを推してくれていれば、もっと楽しめたと思うから残念。
考察
過去の誘拐から脱走したトミー
トミーが怯えるシーン。
過去のスピッツ刑事の取り調べがきつかった、あるいは、スピッツ刑事により過去のトラウマが蘇ったことにより怯え拒絶しているように見える。
しかし、「No! No!」と拒絶をおこすシーンで、グレッグ刑事にカメラが向く。
この時点で、「トミーはグレッグに対して怯えている」ことの伏線が張られているのです。
トミーの狂気じみた顔や、このシーンの直後に主人公の母・ジャッキーのシーンに移るため、ここに意識を残さないように演出されているのが見事ですね。
仮に「グレッグへの怯え」に気づいたとしても、トミー=逃げ出した子供の中の「痩せた方」に紐づけてしまうと、もう一人の逃げ出した方は「太っている子」という先入観が生まれ、ミスリードを生みます。
この辺りは良く出来ていたのですが、できれば「太った少年」を登場させて疑惑の目を向ける先があったら、ストーリー展開がもっと読みにくくなって面白かったと思いましたね。
アレックがすぐにグレッグを殺害しなかった理由
今の誘拐事件(本作の後半)からみても分かるように、グレッグは誘拐したあと”すぐには殺さない”。
そして、誘拐された子供たちは同じ場所に監禁される。
そこで何をされたかは描かれていないが、子供にトラウマを植え付けるのには監禁だけで十分すぎる。
その時に心が壊れ閉じ込められたからではないでしょうか?
アレックが子供っぽいイタズラをするのが、その表現だよね。
ミンディに「やめろ」と言われても、子供だから自分を抑えることが出来ないんだよね。
「殺せるタイミング」で殺さない違和感というのは、心の発達に弊害が起きたことの裏返しである表現とも受け取れます。
また、この「子供っぽさ」は、グレッグから「子供(主人公・コナー)を奪う」などの捻くれたものではなく、あくまで「まっすぐに本人に対する復讐」という考えからズレが無いのもポイントですね。
英語メモ
I SEE YOU
本作の原題。意味は「私はあなたと会う」。
直訳すると「私はあなたをみる」「あなたが見えている」ですが、「See you later」が「また会おう」ですし、本作のストーリーから“会う”という表現が合っていると思いました。
Do you know what phrogging is?
主人公・コナーが受け取ったメッセージ。意味は「フロッギングって知ってる?」。
Phrogging caught on camera
主人公・コナーが見た動画のタイトル。意味は「カメラが捉えたフロッギング」。
phrogging/Phrog
本作の邦題である「フロッグ」であり、メッセージの中にあった「フロッギング」。
意味は「他人の家に、許可なく密かに住む行為」のこと。
これは「カエル」を表す「Frog」とは綴りが違います。
しかし、カエルがぴょんぴょん飛び跳ねることから「他人の家から家へ転々とする」ことが単語の由来だそうです。
結び
他人が人かに忍び込んで、数日間暮らしても家主にばれない。
そんな大きな家や、備蓄がしっかりした環境が羨ましいね。