作品情報:毒の科学 身近にある毒から人間がつくりだした化学物質まで
基本情報
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書籍名 | 毒の科学 身近にある毒から人間がつくりだした化学物質まで |
著者 | 齋藤勝裕 |
原作 | – |
原作者 | – |
キャラデザ | – |
ページ数 | 192ページ |
発売日 | 2016年02月15日 |
出版社 | SBクリエイティブ株式会社 |
レーベル | サイエンス・アイ新書 |
ASIN | B01BM829C0 |
ISBN | 978-4797386349 |
状態 | 完結 |
巻数 | 全1巻 |
あらすじ
有機化学、物理化学、光化学、超分子化学を専門分野に持つ理学博士である齋藤勝裕さんが書いた書籍。
自然界に存在する毒から、人間が作り出した毒(化学物質)まで数多くの「毒」を紹介している。
感想:毒の科学 身近にある毒から人間がつくりだした化学物質まで
感想
「『毒』に関する書籍を読むなら本書は欠かせない」というくらいの有名どころ。
以前、記事を書いた『身近にある毒植物たち』は、書籍名のとおり「植物」がテーマです。
そのため、有名どころのテトロドトキシン(ふぐの毒)や地下鉄サイン事件で有名となった「サリン」などの毒に関する記述はありませんでした。
本書では、それらの植物以外の自然毒から人間の作り出した毒(化学物質)まで網羅された書籍になっています。
「毒」というものは命を奪う恐ろしい物であると同時に、量や使い方次第では人々を救う「薬」にもなりうる。本書の中で紹介されているギリシアの格言「量が毒を成す」の元の言葉は、毒性学の父・パラケルススが残した言葉が元になっています。
全てのものは毒であり毒でないものなど存在しない。その服用量こそが毒であるか、そうでないかを決めるのだ。
引用元:パラケルススの言葉より
まさにこの言葉の通りで、量を間違えれば「塩」だって毒なのです。
本書では、危険性のある「毒」という一面を知るとともに、「薬」としての有用性も記されているのがポイントです。
一方で、本書は難しい。
全くの知識ゼロから読む場合は、13ページ目(序章の4ページ目)で躓くんじゃないかというくらい専門的。
これでも一般読者向けに記述や内容を分かりやすくしていただいていることに感謝です。
そして、ダメだ! ついていけない! と思ったら、序章を飛ばして読むのもアリだと思います。
第1章~第4章は、その毒物質(例:トリカブト、青酸カリ)ごとに紹介されているため読みやすいです。写真や図解などもあるため、序章よりも読みやすいはずです。
また、第5章では「毒物が利用された事故・事件」について紹介されています。
これが本作で一番良かった点。
「ネットで見たことあるよ」「有名だから知っているよ」という方も多い「3歳の子供が命を失う事となった歯科のフッ化水素事件」なども取り上げられていますし、歴史上の人物(ナポレオン等)にも触れられているのです。
毒に焦点を当てた事件・事故を紹介するというのは中々に見当たらないですが、Wikipediaなどで毒や事件・事故を調べ始めると、あっという間に時間が過ぎ去ってしまいます。
本書では、全体でおよそ200ページとぎゅっとまとめられた書籍ですので、ここを取っ掛かりにするには最もオススメできる書籍です。
要注意ポイント
本書では、「クモ」や「ムカデ」「ハチ」といった虫や、「カエル」や「イモリ」「ヘビ」などの爬虫類・両生類といった生き物の写真が一部利用されています。
それらの写真は決して多くは無いのですが、苦手な方は「試し読みで目次を確認」するようにしましょう!
(カラー写真なので、心構えをしていないとビックリしますよ。)
結び
虫は全部苦手(カブトムシも蝶も嫌い)。
爬虫類や両生類は平気。ヘビは可愛いよね。
子供の頃、愛媛の山でヘビを捕まえて遊んだ記憶がある。(頭を抑えれば平気! 平気! ってね。)
毒ヘビの生息地は日本各地にあるんだってさ。
もしかしたら、それは毒蛇だったかも?
「知らない」って怖いよね――。